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2017.11.29

「東京、這う廊」全曲楽曲解説

Drowsy

自分がどう思うかってすごい大事だなって

「タイトルは、“うとうとする”とか“眠い”とかを辞書で調べてて、何か字面が綺麗だなと思って。玄さん(=菊地・g)が、“シューゲイザーをそのままやるのは好きじゃないからブチ壊してやる!みたいなリフを入れたけど、案外普通になった”みたいなことを言ってました(笑)。音は意外と重いんですけど、どっちかって言うとオルタナ好きな玄さんならではの重さな気がします。歌詞はこの尺とこのメロディの数だと言えることもそんなにないんで、かいつまんだ感じにはなってますけど、“押し付けがましくない”っていうのはもう今のテーマみたいになっちゃってますね。昔っから結構思ってたんですけど、本人がそう思っちゃってることを、周りがとやかく言っても救われることってあんまりない。そう考えたときにやっぱりね、自分がどう思うかってすごい大事だなっていう」

雨、雨、雨、

これってやっぱり過剰かな?(笑)

「スティングが結構好きで。あの切なさというか、哀愁。これってやっぱり過剰かな?(笑) あと、本当に有名な曲はすごいキャッチーなのに、“何なんだろうこの曲?”っていう曲を大量に詰め込んだアルバムも出してるのが何か面白いなと思って。ポリスもそうですけど、レゲエをバンドの解釈でやる、みたいな実験的な感じも好きですね。そこもオルタナなのかも。歌詞を読んだら分かると思いますけど、テーマは“アンチ”ですね。“それってどうなの?”って思うところをちょこちょこ入れつつ、雨も降りつつ(笑)。この曲の歌のダブルな感じもいいなぁって。1番のサビとかを聴いてて、“これを30年前に出せてたら…”って(笑)。親とかも聴いてたんだろうなぁ」

明日はきっと大丈夫

頭の3言でもう違う、違う、違うみたいな(笑)

「他人の曲の歌詞を書くときって、サラッと1行目を思い付くかどうかが結構大きいんですけど、この歌詞の1つ前の話をすぐにそうじゃないって言っていくバランスの悪い感じがいいなぁって。“「一人が良い」と呟いて そうでもないと気づいて でも、誰と居たってなんだかなぁ”って、頭の3言でもう違う、違う、違うみたいな(笑)。自分は芯がない人間だなって感じることが多いんですけど、この曲の“そうじゃない、これもそうじゃない”ってやっていって、やっと“ここかな?”みたいに見付ける感じはまさにですね。でも、多少は芯に近付いてるのかなぁっていう。ただ最近は、誤解されるのはイヤだけど、誤解するような浅はかなヤツはもういいかなっていう気持ちもあります(笑)。あと、“不意の仕草で離れていくことを悟った”ってありますけど、結構そういうことに気付くのは早いと思います。友人関係でも、恋愛でも、やりとりとか仕草もそうですけど、多分自分もそうだから、相手がやったときに気付くんでしょうね。まぁ俺じゃない人とでも別に上手くやっていくでしょうよあなたはと」

東京

やっぱり東京の人間だなって思いました、自分は

「東京=そこにあるものっていう感じがしますね。もちろんね、いきなり吹き飛ばされたりする可能性もあるけど(笑)。東京の散らばってる感じも自分っぽいのかなって。やっぱり規模がデカいから、この街も栄えてるしあの街も栄えてるし、何でもある。そういう多様性には割と寛容というか敏感だとは思いますね。“東京って何かイヤだな”って思う人は、東京にはこうと言う人もああと言う人もいるから、自分の考えが否定されてる気になるところはあると思うんですよ。でも、それが真実な気がするんで、そこはありのままにしたいなって。ツアーから東京に帰ってきて、“人がいっぱいいるなぁ…”って人混みを見て安心した瞬間があったんですよ。人混みが嫌いなタイプと思われがちなんですけど、やっぱり東京の人間だなって思いました、自分は」

這う廊

常に逆のことやろうみたいな気持ちは結構ある

「『這う廊』はリフが先なんですけど、何となく同じ場所をぐるぐる回ってるイメージがあって。そこからリフがずっとループする感じになって、回廊を這いずり回ってるみたいな絵がふと浮かんで、『這う廊』ってタイトルも漢字にして。前のバンドではなかなかやれなかったんですけど、元々こういうリフとか歌もアコギ1本で作ってて。あと、自分は音楽的には雑食ではあるんですけど、最近は“曖昧なもの”が特に好きなのかなと。だから、ダンサブルな曲でも打ち込みより生演奏の方が好きかな。別にぬくもりを感じてるわけじゃないんですけど、人の曖昧なズレ感とかが好きなんだと思う。そういう意味でも体現してる曲というか。歌詞も、“やぁ! 調子はどう? 上がってる!?”みたいな感じの音楽が世の中には多いから(笑)、“How low?”=“どう? 下がってる?”っていう…もう安直っちゃ安直なのかもしれないけど(笑)、逆っていうのがいいなって。やっぱり常に逆のことやろうみたいな気持ちは結構あるんで」

#ゴミ箱にて

ちょっとローファイなものをやりたいなと

「ブリッジ的な曲というか、ちょっとローファイなものをやりたいなと思ってデモを聴いていったときに、もうこの音質のままでいいんじゃないかっていう話なって。家にある弦も替えてないボロボロのギターを弾いて、iPhoneの純正マイクでそのまま録って、ローファイ感を出したりもしてます。次に『燃やせるゴミ』が入ってるし、何か“ゴミつながり”じゃないけど(笑)、前奏曲的にもいいかなぁって。やっぱり自分はゴミみたいな人間だなと思うことが多いんで(笑)」

燃やせるゴミ

自分は未練とかはあんまりないタイプなんで、そういう残酷さも重なってる感じはします

「すだっち(=須田・b)が作ってきた時点で、すでにちょっとレゲエちっくな曲で。すだっちはいっぱい曲を作ってくれてるんですけど、なかなか歌詞ができない(笑)。でもこれは、“「今日までありがとうね」”っていう言葉がパッと思い付いたんで。人って別れるときにこういうことを言いがちなのは何でかな?みたいな(笑)。全然ありがとう感のないありがとうだよなって。まぁ本当はそんなことは思ってなかったりもするだろうし、珍しくSFじゃないですけど、“捨てられるぬいぐるみ”みたいなイメージがありました。自分は未練とかはあんまりないタイプなんで、そういう残酷さも重なってる感じはします。実際、別れを切り出されてから復活したこともあるんですけど、それも何か…形式的っていうのかな? 関係を取り戻そうとするときも、自分はあんまり感情的ではないと思います。何かその自分のズルい感じもイヤなんですけどね(苦笑)。追いかけたら離れていく、みたいなベタなこともありますけど、そこで追いかけないことができるタイプですね、自分は」

かくれんぼ

“死ねば逃げられる。本当にそうか? 分かんないぞ、死んだことないし”

「かくれんぼとか鬼ごっことかと、生き死にみたいなドロッとしたものの組み合わせは結構好きかもしれない。子供の遊びにも関わらず、よくホラーのテーマになったりする感じが。あと、“人生やめたい”って思うこともあるけど、安直に逃げ場所として設定するのも違うよなって。“死ねば逃げられる。本当にそうか? 分かんないぞ、死んだことないし”っていう気持ちはありますね。中学校のときに友達が“死んだらダルいじゃん”って言ってたんですけど(笑)、そいつの発言が何かずっと残ってて。それって段階が1つ多いじゃないですか。死んだらそれで終わりなのに、死んだのにダルいっていう(笑)。ちょっと頭が悪そうな感じがするけど、意外と深いなって。その感じを歌詞にしてみたかったのかなぁ。だから、死んだのに本当にもう1段階あったらどうしよう?っていう不安要素もあるんですよね。あと、ギターを交互に弾くとか、1つの音だけが鳴ってる状態の方が音圧が出るっていうのもやってみたかったことですね」

はなやぐロックスター

内容的には自分だなぁ…っていうことしか歌ってない(笑)

「この曲の形式としてはリフから作ったっていうのと、4度の転調。やってみたかったことは満たしている曲で、意外とキーは低いんですけど、歌ってて気持ちいいというか、内容的には自分だなぁ…っていうことしか歌ってない(笑)。THURSDAY’S YOUTHとはこういうものという、明確な1曲ですね」

Mob

よく曲先、詞先みたいな話になりますけど、リフ先

「こういう曲…好きですね(笑)。捉え方によってはどっちが烏合の衆なんだ?っていう。これもリフ先行でできた曲で。よく曲先、詞先みたいな話になりますけど、リフ先みたいな曲が僕は多いですね。サビ後のチュッチュ言ってる感じとかも、すっげぇダサいんだよなぁ(笑)。でも、それが一番ハマりそうだったから。メッセージを乗せるところじゃない気がしたんですよね。今回は自分の中で解禁するものが多かったですね。どシューゲイザーみたいな曲もそうだし、レゲエもディスコちっくなことも今までやってなかったんで」

水曜日の出来事

Suck a Stew Dry時代に会場限定盤で出したときより、音楽として洗練させたかった

「この曲はSuck a Stew Dry時代に会場限定盤で出したときより、音楽として洗練させたかったのはありますね。ちょうど『THURSDAY’S NIGHT』っていう木曜日の曲があったのもあるんですけど、じゃあ水曜日の曲も一緒にした方がいいかなって。あと俺、会場限定盤とか、あんまり好きじゃないかもしれないです。出してたけど(笑)。いつでも買える状態にしておきたいんですよね。それもやってみて分かったことの1つで。そういう意味で、『水曜日の出来事』の“私だけが持ってる”みたいな特別感を…ブチ壊したいなっていうのはありました(笑)。その方が何か、性には合ってる」

#Gone

第一印象は大事だなって

「これもリフから作って、サビを付けようと思ってたんですけど、いろいろ展開させてみても全然しっくりこなくて、最初に生まれた形に戻して。例えば、Aメロとサビを作った曲があって、それでよかったのに、無理やりBメロとかDメロ(2サビ後のフック的な部分)を付けたりみたいなパターンはSuckの頃はありましたけど、やらなきゃよかったなと思ってたんで。第一印象は大事だなって」

THURSDAY’S NIGHT

スケールのデカい曲ですけど、言ってることは全然スケールがデカくない(笑)

「これはもう、玄さんが作ってきた段階でいいなって思ってましたね。いやもう歌ってて…“行きたくないな やりたくないな 会いたくないな めんどくさいな”とか完全に俺だしなって(笑)。もう学校に対してこう思ってたし、Suck a Stew Dryにもこう思ってたし。スタジオに入るのがいつも金曜日だったんで、木曜の夜に“明日、行きたくないなぁ”って。学校で言えば、木曜日とか平日が1日ぐらい減ってもいいだろうって(笑)。スケールのデカい曲ですけど、言ってることは全然スケールがデカくない(笑)」

#花と命

珍しくあんまり自分のことじゃない感じで書いちゃったんだけど、
やっぱり重なる部分がある不思議な曲

「これもiPhoneで録って。人の生き死にがあったからそれを書こうとは思ってはなかったんだけど、パッと思い付いた曲にはやっぱりそうやって出てくるなぁというか、多分そういうことがあったから思い付いた曲。珍しくあんまり自分のことじゃない感じで書いちゃったんだけど、やっぱり重なる部分がある不思議な曲かもしれない。ファンタジーを書くことがあんまりないから。『燃やせるゴミ』もそうでしたけど、『#花と命』は…おじいさんが亡くなっちゃってて、おばあさんが残されてるみたいなイメージが何となくある。でも、自分も重なるような経験をしてるっていう…何かちょっと不思議な曲です」

さよなら(album ver.)

この曲が最後にあると、やっぱり自分の中で安心感はあったので

「EPとはミックスが違うので、その辺も分かる人には聴いてもらえたらいいなと思います。最初にアルバムの曲順を考えてたときは、『THURSDAY’S NIGHT』が最後かなと思ってて。でもそうなると、『さよなら』を入れる場所がない。『Drowsy』は1曲目だなって何となく思ってたし、この曲が中盤に入っててもなぁっていうのもありつつ。あとは、この曲が最後にあると、やっぱり自分の中で安心感はあったので、うん」